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2011-11-03

猿の惑星:創世記(ジェネシス)@TOHOシネマズ 渋谷

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『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』行ってきました。



『人類の幸福に寄与する目的で科学を追及する』という真摯な行為が、いつしか『にとって代わろうとする傲慢』に変質していく。これは今すでに人類が抱えている大きな問題だと思います。

医療に限っても、遺伝子治療や再生医療、生体間移植は人類の病気の治癒率を飛躍的に高め、人類の寿命を延ばしQOLを高めていますよね。それらは人々の幸せに寄与しているといえますが、倫理的な問題、そして『人がそこまでやってもいいのだろうか』という普遍的で宗教的な感情を解決するには至っていません。



(この先、ストーリーについては書いてないですけど、

描かれているテーマについては言及しているので、

まだ観てない人でイヤな人は読んだらイケンよ~♪)




この映画はうかつにの領域に踏み込んでしまった人類に対して下された、痛烈なしっぺ返しの話という見方が出来るんですが『確かに間違ったかもしれない。でもどうすればよかったのか?』という問いへの答えは示されていません。

これは私たちが今実際に抱えている問いであり、答えが出ないまま科学は前進している。正解はどこにあるんだろう…。

この映画はそんな現状にある私たちに示された、1種のシュミレーションともいえそうです。



薬によって知能を与えらるという運命を背負った猿、シーザー。高い知能をもったことで『自分は猿なのか、人なのか?』という哲学的な問いを抱え込むことになった彼の苦しみや孤独。やがてそれは不信、絶望、怒り、そして『NO-!!』の叫びに変わっていきます。観客は皆、シーザーの心情の変化に強い共感を覚え、深い同情を寄せずにはいられないでしょう。

ちょっと横道ですけど、この映画ではストーリーだけでなくVFX(特殊効果)も素晴らしいので、猿という異種への強い共感も自然と生まれるようになっているのがとても優れたところだと思います。ハードとソフトが高いレベルで協調してるんですね。


もとに戻って。

この映画で人類が直面する事件とその後の状況はかなり絶望的で、できる対応策といえば単なる対症療法的なものにすぎません。そして見終わった後の私たちは、この映画が示した課題を抱えて席を立つことになります。

『じゃぁ結局どうしたらよかったのだろう?』という主人公と同じ問いを…。



それでも、この映画で描かれた暖かいもの、たとえば主人公のウィル(byジェームズ・フランコ)の誠実さや正義感の強さ、お父さん(byジョン・リスゴー)の穏やかな優しい人柄、二人の暖かくて緊密な父子関係、そして二人と猿のシーザーの幸せな家族関係…といった人間関係全般を見ていると、緊張感いっぱいのこの映画にも希望を見出すことが出来ます。

そういう暖かいものが、私たちが抱えている問題の解決にどう影響するのか具体的にはわからないけど。

結局、暖かな人間関係なんていうヤワなものは、この難しい問題の解決には何の役にも立たないのかもしれないけど、それでも私たちはこの暖かい世界に軸足をしっかり置きながら、同時に困難な問題、課題から逃げずに取り組んでいかなくてはならないんだろうなと思います。



考えると、これは今まさに私たちが抱えている原発問題に対して、各自がどういうスタンスでいるべきかということにも通じているかも。

私たちは原発の直接の担当者ではないけれど、今後これをどうしたいのか、この問題にどういう態度で臨むべきなのか、それぞれが考えて自分なりに取り組むべき何かがあるのかも…とは思います。

そういう点ではこの映画はとても普遍的なテーマを扱ってるんですよね。




というわけで、

すごく楽しんだんだけど同時にいろいろと考えさせられる、おすすめの1本です。ただ、疲れてるときは避けたほうがいいかも。パワーにやられます。


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