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2008-07-06cover music

昨年より続く音楽業界のトレンドと言えば、

「ベスト」「コラボ」、そして「カヴァー」。

そんな徳永英明のヒット以降、猫も杓子もカバー(あるいはリスペクト)

という世相に歩を合わせたかのようにCDを聴く日々。





1.Charles Kynard [WOGA]

2.Francis Lockwood Trio [Jimi's Colos]

3.Michael Longo [Funkia]

4.Paul Humphrey [And The Cool...Aid Chemists]

5.Ramsey Lewis [Maiden Voyage]

6.Ray Bryant [In The Cut]

(アルファベット順)


7.Billy Preston [Music Is My Life]

8.椎名林檎 [私と放電]







Charles Kynard [WOGA]

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国内盤 CD

発売日: 2007/08/03

組枚数: 1

規格品番: PCD-23928

レーベル: Pヴァイン


 頭からダニー・ハサウェイの超名曲「リトル・ゲットー・ボーイ」の

クール過ぎるカヴァーから始まるチャールス・カイナードの72年作。

 熱いようで醒めている、べたべたではなくぺたぺた(by真矢みき)

という表現がぴったりの、だけどなんだか胸がざわめくオルガン・

ジャズ。このクーリッシュ且つアーシーなオルガン・プレイを支える

バックも総じて素晴らしく、特にチャック・レイニー(b)&アーサー・

アダムス(g)のブリブリ&テケテケサウンドに悶絶する。

 先述の「リトル・ゲット・ボーイ」以外にも、アレサ・フランクリンの

「ロック・ステディ」、ロバータ・フラックの「愛は面影の中に」を収録

し、まさにジャズ版ニュー・ソウルの隠れ名盤と言える。

で、


Donny Hathaway [Live]

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国内盤 CD

発売日: 1997/11/25

組枚数: 1

規格品番: AMCY-3036

レーベル: アトコ

 そのダニー・ハサウェイの奇跡の名盤「ライヴ!」も併せて紹介。

 色々なところでも書かれているが、本当に奇跡としかいいようが

ない音の結晶、というか声の素晴らしき哉。

 キャロル・キング「ユーヴ・ゴット・フレンズ」でのやさしさ、

 マーヴィン・ゲイ「ホワッツ・ゴーイン・オン」の々しさ、

 「リトル・ゲットー・ボーイ」でのヒリヒリとした焦燥感と刹那さ、

 「ゲットー」での繰り広げられる長尺のジャム、

 1970年代という(特にアメリカにとって)希望と絶望が錯綜し、

その中で愛を叫び、希望を囁き、絶望を奏でた稀代のアーティスト、

ダニーハサウェイ。

 新時代を間違いなく背負っていた彼の才能が発揮された、そして

名脇役フィル・アップチャーチ(g)の凄さも堪能できるとてつもなく

黒く熱く乾きを潤す作品。


Francis Lockwood Trio [Jimi's Colos]

国内盤 CD(廃盤)

発売日: 1998/02/18

組枚数: 1

規格品番: TOCJ-6183

レーベル: 東芝EMI

 今回記載するなかで、唯一以前より所持しているCD且つ生まれ

て初めて(高校生ん時か)「ジャズってかっこいいな」と思ったCD。

ロックとジャズのクロスオーヴァーは、過去に(特に70年代後期か

ら)実践されてはいるが(後にフュージョンへと繋がる)、それとは

少し感触が異なるある意味正統派なジャズ作品。

オリジナル3曲以外は全てジミ・ヘンドリックスカヴァー

「パープル・ヘイズ」「ヘイ・ジョー」「リトル・ウィング」などと

ともに、個人的にジミヘンの曲の中でも郡を抜いて好きな曲であろう

「オール・アロング・ザ・ウォッチタワー」(これも他人の曲だけど)

が収録されているというのが最大のポイントか。

 この曲の持つそこはかとない哀愁、やさしさと躍動感とが渾然一

体となった様を、上手くジャズというフィールドで表現している。

 ピアノ・トリオらしくシンプル且つ繊細で、ジャズ特有の一般的な

わかりにくさはなし。アーバンで非常に洗練されたポップさがとても

素晴らしいジャズ初心者にお薦めな作品。



Michael Longo [Funkia]

国内盤 CD

発売日: 2003/09/25

組枚数: 1

規格品番: PCD-23438

レーベル: Pヴァイン

 チャーリー・パーカーとともにジャズ・トランペッター界の重鎮と

して君臨するディジー・ガレスピー・バンド出身のピアニストの74年

作品。非常に洗練された音色でコロコロと奏でられるのはマーヴィン・

ゲイの史上屈指の名曲「ホワッツ・ゴーイン・オン」。

 かの曲の持つやさしさ、たおやかさ、力強さをピアノとブレイクビ

ーツで表現し、中盤これぞロン・カーター(b)なラン・ベースで変調

~モーダルに進んでいく様は圧巻の一言。

 全体的にサルサ、ラテンミュージックへの影響も垣間見れる70年代の

多様性を如実に表す好ジャズ・ファンク・アルバム

 管楽器も含んだ次作[900 Shares Of The Blues]も同系統の充実作

でお薦め。



Paul Humphrey [And The Cool...Aid Chemists]

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国内盤 CD

発売日: 2005/07/15

組枚数: 1

規格品番: PCD-22216

レーベル: Pヴァイン

 マーヴィン・ゲイ、スティヴィー・ワンダー、T・レックス果ては

美空ひばり(!)とも共演歴のあるセッション・ドラマー、ポール・

ハンフリーのソロ1作目。

 ジャズ、というよりクリームに通じる古ロックな作風でかっこいい

71年発表。いきなり「サンシャイン・オブ・ユア・ラヴ」風のヘヴィ・

ジャズ・ロックでまずは軽くジャブ。デヴィット・T・ウォーカーの

荒れたファズ・ギターが耳を劈き、ハンフリーのドラミングはジャズ

にありがちな、というか千手観音かオクトパスの如き、例えばエルヴ

ィン・ジョーンズのようなわかりにくさはなく、派手ではないが、身

体が自然に揺れるソウルなプレイを披露。

 そして個人的には次の「Them Changes」に顔が綻ぶ。ジミヘン

カヴァーしたバディ・マイルズの名曲をここでは、エレピとベースが

美しく絡み合うメロウバージョンで演奏。他にもビートルズの「サム

シング」も演奏しており、全体的に艶やか抑制感と均整のとれた構成

の妙が堪らなく魅力。

 ちなみにその世界では、彼らのことを「ウエスト・コースト・ジャズ」

という言うそうだ。納得。次作は『スーパーメロウ』。





Ramsey Lewis [Maiden Voyage]

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国内盤 CD

発売日: 2006/09/27

組枚数: 1

規格品番: UCCU-3061

レーベル: カデット

 60年代後半よりストリングスを導入し始めたこともあって、+わか

りやすさが仇となったのか真性ジャズ・ファンからはあまり評価され

てないであろう、ラムゼイ・ルイスの69年作品。

 このアルバム前後からストリングスの導入が本格的に始まり、確か

に一聴する分にはイージーリスニング的な感触も確かにあるのだが、

それでもこの明るさわかりやくさは素晴らしい。

 音楽に限らず他人に何かを伝えたい、届けようとするにはテクニッ

ク・知識だけでは絶対に無理なわけで、いくら超絶プレイを決めても、

奇抜なアイデアで圧倒しても結局はそれがちゃんと他人に届いてなけ

れば何の意味もないということを最近つくづく実感している身として、

この人の明るさ、わかりやすさ、そして何より自然に身体を揺れさせ

るフレージングセンスには本当に脱帽する。

 ボブ・ディランの「マイティ・クイン」、

 ビートルズの「レディ・マンドナ」

 アレサ・フランクリンの「君が去ってから」を収録。

 この作品後、時代はブラック・パワーの台頭とロック、ニューソウ

ルという新しい価値観や革新性を持った音楽の登場というエポック・

メイキングな70年代に入り、ラムゼイ・ルイスもまた時代の影響を受

けストリングスを廃し、「電気」という力を借りて彼にしかできない

ジャズ・ロック的作品を発表していくこととなる。



Ray Bryant [In The Cut]

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国内盤 CD

発売日: 2005/12/28

組枚数: 1

規格品番: UCCU-9130

レーベル: カデット

 過小評価されているこのアルバム(というか黙殺されている)。

 74年作。レイ・ブライアントという人はとてもブルージー&アタッ

キーで味わい深いピアノを弾く。声帯系楽器ではないピアノなのにと

てもソウルフルな演奏で生粋のジャズ・ファンからも(特にここ日本

では)大いに人気のある人なのだが、このアルバム、ジャズがロック、

ソウルと新しき音楽の登場でジャズが衰退気味の時代に発表されたこ

ともあり、且つそうした時代を反映したエレクトリックを導入した作

品ということもあり割と定番化している彼のカタログからも除外され

ている。

 が、個人的には電化とR&B色が色濃いこの作品素晴らしく感動的。

何より1曲目ジャクソン・ファイブのカヴァー「アイル・ビー・ゼア」

に涙腺が緩みっぱし。リリカルで切ない感情に身悶えるする。

 スライ&ファミリー・ストーンの影響下にあるハービー・ハンコック

の名曲「ウォーター・メロン・マン」も収録しているという点からもロ

クサイドの視点からは一番のお薦めか。





Billy Preston [Music Is My Life]

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国内盤 SHM-CD

発売日: 2008/05/14

組枚数: 1

規格品番: UICY-93456

レーベル: A&M

 ビートルズ(映画『レット・イット・ビー』での屋上のシーンでも

登場)、ジョージ・ハリソンとの永年の交誼。はたまやストーンズと

の共演により「5人目のビートルズ」「6人目のストーンズ」として、

つとに有名な稀代のマルチ・プレイヤーの73年作。

去る6月にA&M時代の作品が一挙紙ジャケ再発された(SHM-CDで)。

 とにかく素晴らしい声。そして素晴らしい曲の数々。

 ゴスペル・ファンク。

 ソウルフルという言葉はこの人のためにあるのではないか、とつい

言いたくなる。それ程素晴らしい。わかりやすく言えばドーピングし

て声帯増強したトータス松本。熱くシャウトする様はマーヴィン・ゲ

イ、ダニー・ハサウェイと同等か、それ以上ではないかと思う。

 ビートルズの名曲「ブラック・バード」をあくまでビリー流儀のソ

ウルでガッツィーに料理。その他とにかくゴスペルに裏打ちされたロ

ック、ソウル、ジャズ、ブルース渾然一体と化したハイブリット・ソ

ウル・ミュージックに只々平伏すのみ。

 前作「シンプル・ソング」も併せて強くお薦め。ビリー流「フリー

バード」(レーナード・スキナード)乃至「ハイウェイ・ソング」

(ブラックフット)な表題曲「シンプル・ソング」に心が泣いた。






椎名林檎 [私と放電]

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国内盤 CD

発売日: 2008/07/02

組枚数: 2

規格品番: TOCT-26576

レーベル: EMIミュージック・ジャパン

 これは、カヴァー曲が収録されている云々ではなく、ただ単に

好きなだけ。椎名林檎。あの冷たい眼とその分笑った時の顔が何

より別嬪。ほんとそれだけ。

 というだけでなく、実際素晴らしい音楽を作り続けている才能

もまた素晴らしい。いわゆるシングル・カップリング・ベスト。

 東京事変のアルバムを聴いた時も感じたが、この人は絶対に一

人でやるより脇に彼女の才能を理解するコンポーサーなりパート

ナーがいた方が持てる才能をよりポップな形で表現できるんだと

いうこと。

 この作品の収録されているデビュー~中期の楽曲は多少やらさ

れている感があったとしても独自の世界観だけで突っ走ることも

なく(特にソロ後期がそうなように)、いい塩梅にポップで聴き

やすい。久しぶりに『勝訴ストリップ』の興奮を思い出した。

ということで特にDisc1ばかりを愛聴。

 「あなたを愛してる~」と情念と色気が綯交ぜになって狂気の

一里前で歌われるダイアナ・ロス「キャント・テイク・マイ・ア

イズ・オフ・オブ・ユー」でのキ○ガイっぷりに震える。

 それにしてもこれを聴いて久しぶりに「本能」も聴いたんだが、

「本能」の歌詞ってキてますね。よくヒットしたもんだ。

mine-Dmine-D2008/07/07 15:33相変わらず渋いチョイスすげーっす。ビリー・プレストン聴いてみようと思いました。