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2009-07-20トータス松本

 素晴らしい音楽とは、

 楽しい時よりも、悲しい時に。

 嬉しい時よりも、怒れる時に。

 幸せな時よりも、切ない時に、こそ生まれるもんだと思う。


 何が言いたいかというと、そんな素晴らしき音楽が詰まった

トータス松本のソロ・アルバムは、ちょっと想像を絶する傑作

になっているぞ、ということ。


 このアルバムを一度聴いてしまうと、ウルフルズが、いかに

トータス松本の彼の考える「ウルフルズ」であろうとする抑止力

によって、その素晴らしさをカロリーオフしていたか、ということ

がよくわかる。


 そしてまたウルフルズが好きな、ウルフルズの音楽が好きな者に

とって、どうしてこれをウルフルズでやらないんだ、という歯痒さを、

同時に感じる作品


(何故トータス松本がそうなったかは、今月号のロッキングオン・

ジャパンを読んで下さい-これが、読者が読みたいもの、話し手が

話したいこと、聞き手が引出させること、これが完全に一致して、

且つ何気ない会話に織り込まれた高度なスキルとテクニックが味わ

える、これまたちょっと想像を絶した素晴らしい読みものになって

いると思う)


 「涙をとどけて」「僕がついてる」「明星」といったシングル曲も

あるが、それ以外の楽曲の完成度が半端ない。マーヴィン・ゲイや

ボビー・ウィマック、オーティス・クレイらソウルフル魔人もびっくり、

「ねむらないぜ」における遣る瀬無さ。「いつもの笑顔で」の艶やかさ。

「ミュージック」における色気と悲しみ。


 本人が思っている以上に彼の声には、人を震わす「何か」がある。

同じ「大丈夫」でも、全く持って説得力のない、殺意さえ覚えるRやF

やGrのうたう歌とは圧倒的に異なる「重み」と「深み」がある。


 ウルフルズの活動休止に至るまでの、苦悩と葛藤の末に、先にこの

アルバムがあるのあれば、だからこそ生まれた、またこの先の可能

性が拡がったのであれば、何よりこのアルバムが売れて欲しいと心

から思う。


 何故なら、ソウルの名曲ばかりをカヴァーしたファースト・ソロである

『Traveller』とは決定的に違う、トータス松本という人の頭に鳴っていた

悲しみや切なさがこれでもかってくらいに放たれていて、またそれが実は、

日本人のソウルを震わすことの出来る教科書的音楽、理想とするソウル

ミュージックではないかと、俺は思うから。



 いつかこのアルバムの先に、ウルフルズがレッチリのようにまた、4人

集まってソウルフルな音楽ができるようになれば、と心から思う。

 でも、今はこれが、俺にはウルフルズよりソウルフル。





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タイトル:FIRST <通常盤>

国内盤 CD

発売日: 2009/07/15

組枚数: 1

規格品番: WPCL-10720

レーベル: WARNER MUSIC JAPAN