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2010-06-26

じいちゃんはナチュラルボーン・アーティスト(5)

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幼い日、いつものようにじいちゃんの家に遊びに行った時のことです。姉と私はじいちゃんに手招きされて、ブリキのようなもので出来た、危なっかしい建物に連れて行かれました。中に入ると、たくさんの石が展示されていて、石はその形によって人の顔や、イヌや、クマなどに分類されていました。


これらの石はじいちゃんが土に穴を掘っていたら出てきたそうで、じいちゃんは「先住民コロポックルが創った芸術作品だ!」と信じて、亡くなる日までずっと研究し続けていました。そう、じいちゃんは、石をたくさんの人に見て欲しくて、家の敷地内に、建築の知識もないのに自力でそのための美術館を建ててしまったのです(じいちゃんの家はもともと農家だったので、土地の広さには恵まれていたのです)。


私が最後にじいちゃんに会ったのは、確か10代後半の時だったでしょうか。じいちゃんの家に上がると、じいちゃんが廊下を歩いてこちらへやってきたのですが、80歳位になっていたじいちゃんは足腰が弱ってしまっていて、どこかに寄りかかったり、つかまったりしなければ歩くことが出来なくなっていました。


じいちゃんが通り過ぎた後、私は母に「じいちゃん、もうほとんど歩けないんだね。ということは、もう穴を掘るのもやめちゃったのかな?」と尋ねました。すると、驚くべき答えが返ってきました。


「・・・ううん。まだ掘ってる」


いくら考えても、歩けないじいちゃんが一体どうやったら土を掘り返すことができるのか、さっぱり分かりませんでした。今でも分かりませんが、その時はただただその情熱に圧倒されていました。


その数年後、突然じいちゃんの訃報を聞きました。84歳でした。「じいちゃん、宇宙に還ったんだな」と思いました。




  • じいちゃんのオール・アポロジーズ 前編

先日、母に「じいちゃんの自費出版の本、うちにもあったよね?」と聞いてみたら、運良く捨てられずにとってあったので(母はこういうものにはほとんど目を通しません。でも捨てなかったんだね)、今私が読んでいます。石の研究の本。


他にも何か面白いものないかな?と思い、母の本棚を物色していたら、「室中四八会 卒業四十五周年記念 1974」という冊子が出てきました。じいちゃんが通っていた中学校の、同窓会の文集。表紙には「K子(母の名前)へ 父」とマジックで書かれています。


「?」


ページをめくると、そこにはじいちゃんが寄稿した「0の人生」というタイトルの文章が載っていました。


「(前略)だけどこれは六十年間の遺書だから、まあ、チョット長いんで恐縮なのサ。ご好意でもないと私には遺せる場も無いし、お許し頂けようかネ。・・・」


こんなふうに幕を開ける長い長い文章の中に、私の知らないじいちゃんの半生が綴られていました。


それは、じいちゃん版「All apologies」とも言える内容でした。




※じいちゃんの”石の研究”については、五十音感情の正体サイドバーリンク古代先住民族コロポックルは実在した」で読むことができます。かなりマニアックですが、興味のある方はどうぞ。