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2010-06-28

じいちゃんはナチュラルボーン・アーティスト(6)

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  • じいちゃんのオール・アポロジーズ 後編

「私は十九才から、役にも立たぬ者とゆふ印象を人に与へる人間になった訳サ。」「健康も十九才で終ったしネ、文学愛好も十九才で捨てることになったョ。」


あら、じいちゃん、19歳から人生がズッコケちゃったのね。・・・って、あれっ?私と同じだ・・・。19歳から・・・。


「家へ帰ッてからネ、ハガキを書くとネ、拝啓ごぶさたしました、と書いて、次の行へ移ると、もう、前に何を書いたか分らないんだョ。前へ戻ッて見ては書き、戻ッて見ては書き、それでも、まとめることは何とかまとめるんだネ。一年ばかりのうちは、何を食べても塩ッぱいのか甘いのか、よく分んないんだョ。自分が前を向いてゐるのか、後を見てゐるのか、ちょうど頭が消えてゐるようで、ハッキリしないんだョ。」


「空を見上げて、一時間も二時間も祈ってみたりネ。空飛ぶ雲ばかりで、様などは出て来はしない。そう知ったネ」


じいちゃんは何度か回復して、農作業の傍ら仕事に就いたりはするのですが、それも続きません。そしてついに、妻と5人の子どもを持ちながら、二年間完全に臥してしまいます。


「幾日かネ、もッともッとだネ、眠ったのか眠らないのか分からないようで二年間、夢、夢、夢ばかりでネ、・・・(中略)自分の葬式があらはれたり、天空から舞ひ降りたり、巨人達の行列が映ったり、キラキラと光る川が流れてゐる、夢やでネ、そこまできたら、・・・(後略)」


このような状況からの「脱出」に失敗したじいちゃんは、「なるようになれョ」と開き直った途端に不思議と回復し出し、布団の中で、長く臥していた間に考えていたことをつぎつぎに綴り出します。それが「五十音感情の正体」だったようです。当時44歳。そして45歳の正月、ついにじいちゃんは起き上がってコタツに入ります。


それからは、じいちゃんのことを知る多くの人がイメージする、超ハイパー人間として人生を生ききったようです。


私はじいちゃんの過去を殆ど知らなかったので、驚いたと同時に「ああ、やっぱりなあ」という不思議な安堵感?も覚えました。なぜなら、じいちゃんの描く絵には、あのダニエル・ジョンストンの落書きととても近い雰囲気を感じていたからです。


今じいちゃんが生きてたら、もっとじいちゃんと話したかったよ。


じいちゃんの人生に乾杯。


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☆「0の人生」より、じいちゃんの名言?集


「人生には良いとか悪いとかは本質的には無い、とおもふナ。成功すれば人はよく見るネ、失敗すれば悪く言ふョ。」


「困る困ると言ふ人をみると、奥さん、あなたは、三日メシを食はないからメシを食はせて下さいといってきた人何人ゐましたか、お正月がやってくるとヤッパリ一升ビンなど斜にして騒いでゐるでしョ、困ることなんかメッタに無いんですョ。いよいよになると金を工面してくれる人が来たり、突然仕事がみつかッたりネ、と、言ふようになったョ。」


「私のはもはや文学とか文芸とかではないョ。学とか芸とか言ふものは、磨きをかけなければならんと思ふけれど、私にはその年限が無いョ。どうせ人間は自分がはめこまれた鋳型をくッちゃべッてゐるほかないとおもふから、私も自分の鋳型にしゃべらせて歩き初めたんだナ。」